« 2011年9月 | メイン | 2012年2月 »

2011年11月

2011年11月19日 (土)

人にやさしい木造の福祉・保健施設

木造の福祉・保健施設は、お年寄りや体の不自由な方々の安らぎの場に最も最適です。
木の持つ温かみや心地よさは、そこにいるだけで自然との絆が感じられます。

屋久島総合福祉センター こまどり館

DATA
所在地:熊毛郡屋久島町
発注者:屋久島町
設 計:(株)創建築計画研究所
施 工:五洋・ニュー鹿島JV

Wd7_i_007

 

宗像市総合福祉センタ- メイトム宗像

DATA
所在地:福岡県宗像市
発注者:宗像市
設 計:(株)東畑建築事務所
施 工:大成・守谷・井上JV

Wd7_i_008

Wd7_i_009

 

特別養護老人ホーム 「桜の里」

DATA
所在地:熊本県球磨郡水上村
発注者:医療法人健成会
設 計:A・I・R構造
    -草場設計事務所
施 工:三井住友建設(株)

Wd7_i_010

 

東峰村保健福祉センター 「いずみ館」

DATA
所在地:福岡県朝倉郡東峰村
発注者:東峰村(旧宝珠山村)
設 計:(株)徳岡昌克建築設計事務所
施 工:東急建設 (株) 九州支店

Wd7_i_011

Wd7_i_012

(発行 平成23年4月12日)

東日本大震災について

この度、東日本大震災により被害を受けられました皆様に心よりお見舞申し上げます。
被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り致します。

○東京で地震に遭遇
 この3 月11 日には私ほか2 名が東京におり、あの大きな揺れと震災直後の混乱の体験をしました。ほかの二人とは吉松(熊本営業所長)、前田です。

○建築建材展に展示
 3 月8 日から11 日の間行われた国際展示場での「建築建材展・国産材の魅力展」に、当社も出展しました。展示品などの運搬のため、鹿児島から車(プリウス)で行きました。
 今回の当社の展示・提案内容は次の三点でした。
 1. 国産材による公共建築物などの可能性(建築事例)
 2.これからの課題 集合住宅の木造化、その課題
 3.木造建築の耐久性向上のために全構造材をホウ酸処理

○大地震に遭遇
 展示会は当社コーナーへの訪問も多く好調でした。最終日の15 時から当社が考える上記三点について私が話す予定で、50 名近くの方が参集、主催担当者と打合せも済み、開始を待っているまさにその時突然の大揺れです。
 講演会の再開どころか展示会そのものも中止となりました。津波を警戒して暫く会場内高所に避難、その後展示品を撤去しました。すべての交通機関がストップとのアナウンスがあり、車で行っていた幸運を喜びました。

○会場からホテルまでの道中
 夕方5時無事会場を後にしたときはほっとしたものの、それからの展開は驚くべきものでした。すべての交通機関が停止したことによる混乱は甚だしく、歩道から車道にまで人があふれ出しています。交通警官が「歩道へ戻りなさい」と声を涸らしても、必死で誘導しようとしても平然と無視されています。私たちの車も一寸も動かず、唯一公共機関で運営されていたバスも同様でした。もし首都での震度がもう少し大きかったら、あの状態では緊急車両の通行も出来ず、その被害は想像を絶するものになったと思います。
結局ホテルまで約12km の距離に11 時間かかりました。

○驚くべき津波被害
 その後の報道で津波と原発の被害の甚大さ、悲惨さを知るにつけ、私たちが東京で味わった恐怖や難儀は雲散霧消しました。何という災厄が我が国を襲ったことでしょうか。
 被災地はまだ寒さが厳しく何もかも無い無い尽しの中で散乱している木材を薪として利用、暖を取り煮炊きしている人たちを映像で見て何か心が慰められました。

○今度のことで思うこと
 今度のことでいろいろ思ったことを以下に述べてみます。
1.「安全」のため交通機関をストップさせるのは、別のリスク要因になっていないか。平時の「安全」基準とは別に非常事態の「安全」基準が有ってしかるべきではないか。
2.緊急時に非常権限により強力な交通管制は出来ない物か。
3.家庭のエネルギー消費のうち給湯、暖房など熱利用が50%である。現在電力や化石燃料に過度に依存している。この状態から脱却すべきである。オール電化などもってのほか。薪利用や地域バイオマス熱供給も選択肢として考慮すべき。
4.瓦礫の何割かを占める木材から被災者が薪収集を行い、それをちやんと薪として活用する仕組みを作る。考えられる利点として復興コストが低減、被災者の仕事が生まれる、破棄される資源の活用になるなどのメリットが生れる。大型建設機械による建設解体作業に比較すれば丁寧な作業になり、個人資産や個人にとって大切な記念品の回収率向上につながると思われる。
5.知人の夫人がヨーロッパの人で、在京大使館からヨウ素剤の配布があったとのこと。我が国ではどうなっているのだろうか。(佐々木)

(発行 平成23年4月12日)

神々がくれた奇跡シーフォレスト

Wd6_i_001  

石垣市の玉取崎展望台の真向かいに、2010年夏、レストランがオープンしました。プチホテルも併設し、夕食には石垣牛をメインとしたコース料理を提供。
1760坪の敷地内には、果樹・ハーブ・野菜等を栽培しています。貴方に夢のひとときを与えてくれるこのオーガニックレストランで優しい時間をすごしてみませんか。

Wd6_i_002
 石垣島といえば「青い海」という印象をお持ちの方が多いと思いますが、深い緑に覆われた「樹木の島」でもあります。シーフォレストは木と岩に覆われたキンブ山の中腹、標高50メートルほどの場所にあるレストランです。
 台風の来る石垣島の山の中腹に木造の家を建てる!?
 大勢の人から心配の声をいただきました。設計士も建設会社も同じ心配を抱きましたが、それを払拭する為に知恵を絞ってくださった結果、今夏、無事完成しました。
 高台にあるレストランからは180度以上の海が見えます。
 周りに何もなく、常に風や南国特有の滝のような雨にさらされていますが、室内にいると別世界のように静かです。天井を張らず、小屋組みを見せるようにしたことで、すごく木のぬくもりを感じる空間になりました。レストランのテラスも太い柱で東屋風に仕上げましたが、お客様に一番人気の場所(席)となっています。
 家は人工の建造物ですが、自然の恵みである木が心優しくなれる時をもたらしてくれているような気がする毎日です。
   
御施主様の株式会社ライム・ジャパン正宗留美子様より原稿を頂戴いたしました

網野禎昭 法政大学教授講演

集合住宅の木造建築~
欧州の事例から考える・地方都市と木造のあり方

Wd6_i_003

場 所 肝付町高山やぶさめ館
主 催 肝属木材事業協同組合

 網野教授は、東京大学大学院( 坂本・松村研究室) 時代、鹿児島県佐多町( 現 南大隅町) の「さたでいホール」の設計において、シャープなデザイン感覚を発揮され、町にその案が採択されました。

Wd6_i_004

若くしてこのプロジェクトの計画から実施設計、施工管理までを担当されました。その後スイス連邦工科大学ローザンヌ校で当代随一の木質構造の大家ナッテラー教授の下に学び、ウィーン連邦工科大学に転じてアシスタントプロフェッサーを務められました。近年大きく進展かつ変貌しているヨーロッパの木造建築を、研究者として、また建築実務家として、まさにその渦中に在って格闘してこられました。
 十余年ぶりに帰国され、今年4月に現職に就任されました。時あたかも木造化推進法が施行されたこの時期、我が国木造建築の真の発展に大きく寄与されるものと期待しています。誠に喜ばしく、欣快に堪えない次第です。

 講演は3時間に及びました。多層木造建築の意義から始まり、各地の実例紹介、設計、施工の実務的な視点から、各種構法の一長一短、耐火基準などの解説、さらに木造建築を単なるブームに終わらせないために、鉄骨、コンクリート構造などと比べて、性能面、コスト面で如何に競争力を確保するかに話が及びました。性能、コストを踏まえて、材料、加工、部材のディテールまで、そして部材の製造、加工、現場施工体制など、設計・施工の実務に精通していればこその中層木造建築のさまざまな技術的側面が解き明かされた3時間でした。
 今回聴講された80名の方々は木造建築、特に多層階の集合住宅やビルの合理性、建築の具体的手法など聞く機会を得られたものと思います。後日幾人もの方々から木造建築についての常識が変わった、まさに「目からうろこ」だったとの感想をお伺いしました。
 いつか本誌誌上で、ご本人に直接弁じて戴く予定です。( 佐々木)

種子島・木材だより 

平成22年11月29日朝、種子島島間港から出航した船が志布志港に入り、杉丸太約400m3製材品60m3が運び込まれました。これは今回南種子町様が発注されました南種子町立中平小学校校舎建設用として、南種子町有林から伐採搬出された杉材です。

Wd6_i_005
 南種子町の子供たちが使う校舎に是非とも同じ南種子で育った杉材を使った建物で、木のぬくもりを感じながら学校生活を過ごして欲しいという名越町長様始め町役場、地元の強い意志があったとお聞きしております。また、杉材伐採時には日頃やったことのない作業のお手伝いを役場職員の方も出て、大変だったとも漏れ聞きました。

Wd6_i_006
 この大切な材料を預かり、いまから私どもは校舎の骨組に使用する集成材を製造していく作業工程に入っていきます。
 地元の熱い思いにお答えするために会社一丸となって良い製品作りに望んでいきたいと考えております。

〈建築材料〉構造用集成材

Wd6_i_010

短辺12cm×長辺80cm×長さ12mは大断面集成材?

 構造用集成材の日本農林規格(JAS)では、断面の大きさにより大断面集成材(短辺が15cm 以上、断面積が300cm2以上のもの)中断面集成材(短辺が7.5cm 以上、長辺が15cm以上のものであって、大断面集成材以外のもの)小断面集成材(短辺が7.5cm 未満又は長辺が15cm未満のもの)の3つに区分されています。よって、表題のサイズは、中断面の部類になります〈下図参照〉。

Wd6_i_011

しかしながら、一般的には住宅用などに使用される標準規格寸法のものが中小断面集成材として扱われており、それ以外のものあるいは特注品を、大断面集成材と呼ぶ商習慣があるようです。そのために、大断面集成材の価格は高いとひと括りにされてしまいがちですが、規格化された寸法で生産することができれば決して高くはなりません。

カンパチ用のいけすは全国初の施設

Wd6_i_007

 鹿児島県は県水産業の新しい展開を支えるため、垂水市に稚魚生産施設を建設中です。この施設は、カンパチ用の生簀(いけす)としては全国で初めての施設で、経済危機対策に基づく交付金事業で、平成二三年春の完成を目指しています。
 カンパチの種苗は現在、中国からの輸入に依存しており、地元産で賄えるようになれば、養殖の低コスト化や生産履歴の明確化にもつながり、消費者にも安心・安全な魚を供給できます。
 施設は、同市柊原にある県種苗生産施設内に建設。約四.一 haの敷地に、既存のヒラメ・タイなどの生産施設のほか、カンパチ六十万尾の供給を目標とした稚魚生産用生簀を整備し、一00t水槽八面(基)を設置。
 将来的には生産規模の拡大や、夏場主体の供給の周年化、民間への技術移転も視野に入れています。
 カンパチ種苗生産施設は、種苗生産棟(W造平屋建約八六三m2)、親魚棟(一階RC造二階木造建約三四五m2)、取水機械棟(RC造平屋建約一八0m2)の新築。また、既存のクルマエビ生産棟の解体後、ヒラメ棟(種苗生産施設、木造平屋建約四0五m2)も建設が予定されています。

Wd6_i_008 Wd6_i_009
 これまでも環境への配慮と 塩害に強いという利点から、鹿児島県水産技術開発センターの各施設や長崎県壱岐栽培センター、佐賀県有明海漁業協同組合の海苔製造等の水産施設に集成材を使用していただいていますが、今回も各施設に多用して頂きました。
 木造は結露の心配も少なく、木材の特徴である熱伝導率の低さで室内温度が3 ~4度程度低く、室内環境が大変良いです。今回、鹿児島産の安全ヘルシーなカンパチ生産施設に携われた事に感謝し、これからも多方面の水産施設に木材が使用されることを願っております。
(榎 原)