第5号 Feed

2011年4月19日 (火)

TAO ~そのビートの奔流に世界中が歓喜した~

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 日本のみならず世界各地で公演され、大変な反響を引き起こしている和太鼓グループ" TAO" 「TAOの里~GRANDIOSO~」は、阿蘇くじゅう国立公園の雄大な自然の中にあり、自然との対話の中でTAOの音楽活動を育み、活動の拠点となっています。今回、このTAOの里に完成した新しい稽古場は、野外ステージを兼ね備え、木材を最大限に活かし、随所にごだわりを持って建てられています。

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株式会社 タオ・エンターティメント代表取締役社長 藤高郁夫様より原稿を頂戴致しました。

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 阿蘇くじゅう国立公園の真ん中に位置する4万m2の広大な土地に、95 年に良い作品づくりの環境を求めて愛知県から移転しました。
 団員の育成と作曲・演奏など、TAO独自のスタイルを創造するため、TAOの里づくりに邁進し、2007 年までに宿泊施設や稽古場2棟などを整備してまいりました。
 2008 年度は野外ステージを兼ね備え、音の反響の良い、天井が高く大スパンで木構造の新稽古場を、世界的建築家である丸山欣也氏に依頼し、2009 年4月(通称赤兜)が完成しました。
 新しい形のエンターテイメントを創造する場として、最高の音にこだわり、音楽ホールと同じ音環境を整えるため、床下にヒューム管を配置し低音振動をうまく伝える工夫などの様々な技術も採用しました。
 赤兜の音響は、大手録音スタジオ以上の音環境性能が認められ、現在のレコーディングは全てここで行なわれています。
 TAOはこれからもスタッフが集い語らえる施設整備を進め、ご支援いただいているお客様へ日本を代表するエンターテイメント集団として熱いメッセージを送り続けます。

建物探訪 人吉乳児保育園

木のぬくもりある園舎で子供達は元気いっぱいです。

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 人吉乳児保育園は、昭和四五年の開園以来、人吉の幼児教育の先陣を切り開いてこられました。今回、この保育園の園長であられる春木久江様に木造園舎と子供達についてお話を伺いました。

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春木久江園長

 人吉乳児保育園の紹介をお願いします
 熊本県下で三番目に古い入所年令〇~一才の乳児専門の保育園としてスタートし、現在は産休明けから就学前までお預かりしています。『大家族がすむみんながくつろげる家』がコンセプトで、子どもたちの笑い声がいつまでもひびきわたる園舎でありたいと思っています。

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 木造の園舎にすることに決められたのは何ですか。
 保育室が不足している既存保育園の建替に際して、この人吉の地域性を活かし、木造の園舎にすることは最初から決めていました。なぜなら、木造の建物に接することの少なくなった幼児達に天然材料である木材の質感を活かして、優しくくつろげる空間体験をさせてあげたいと考えたからです。

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 建物の特徴を教えて下さい
 大きな大黒柱を中心に、大断面集成材架構によるオープンスペースを設け、創作活動、異年令児保育(きょうだいグループ保育)、合同保育など多様な保育形態に対応できる園舎です。吹き抜けの天井や大きな窓を多用したことで建物内部もとても明るいです。
 また、ガラス張りの給食室が建物のほぼ中心にあることにより、子供達にじかに食べ物の匂いや給食が出来上がる様子を五感で感じてもらうことで、当園が推進している「食育活動」に大きく貢献しています。

 これからの保育園について
 現在、子供達を取り巻く環境が急激に変化しています。むかしの様に公園で子供達だけで遊ぶことも無くなりました。この為、地域から学ぶ人とのぬくもりを保育園で十分にできるような環境にし、子供たちや保護者にとって安心もできる、信頼と敬愛に満ちた保育園でありたい、と考えています。

春木園長様ありがとうございました(出水田)

子供達にやさしい≪ 木造の保育園・幼稚園 ≫

★ こもれびの舎保育園

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 長崎県五島市にあるこもれびの舎保育園は、子供達がのびのびと遊んだり、学んだりするには、開放的で親しみの持てる平面計画と、木の特性を活かした魅力的な空間作りが重要であるとの認識のもとに木造で建てられました。
 これは、木材のもつ弾力性によるソフトな歩行感や、高い断熱性による温かな感触といった物理的特性があるからです。
 建物は、がっしりと組まれた集成材の柱が子供達を見守っています。木材を多用したことで屋内にいてもいつでも自然が感じられるような環境を実現しました。

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DATA
所在地:長崎県五島市
発注者:社会福祉法人さゆり会
設 計:インターメディア一級建築士事務所
施 工:西津建設㈱
床面積:612.36m2

大隅北保育園
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DATA
所在地:鹿児島県曽於市
発注者:社会法人笠木福祉会
設 計:エース建築設計㈱
施 工:㈱春園組
床面積:495.47m2

大福寺保育園
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DATA
所在地:長崎県雲仙市
発注者:社会福祉法人清風会
設 計:インターメディア一級建築士事務所
施 工:星野建設㈱
床面積:790.19m2

湯山保育所
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DATA
所在地:熊本県水上村
発注者:水上村
設 計:㈱川崎設計事務所
施 工:㈱武田建設
床面積:513.19m2

■鹿児島のおいしいもの 旬の味

○唐芋( さつまいも)
 鹿児島の食を語る上で、さつまいもを外すことは出来ません。痩せた火山灰土壌、台風の常襲、それに恐らくは鹿児島独自の歴史的背景もあって、かつてはさつまいもを常食とする、あるいはせざるを得ない困難な食の事情がありました。
 父の書き残した文章の中に、かつての生活を伝聞を含めて次のように記述しています(「執念」87 年発行)。
 「明治の末頃だと思いますが、私の(祖父の)所帯は飼い馬とその世話をする人、作男、手伝い女、それに家族がいました。常食は大量のからいもと少量の米の混食です。」
 「一年に二回くらい、白米のご飯にありつき、それは感激でした。それも、葬式とかお寺の資金作りのために催される「報恩講」という行事などの時だけです。」
 (祖先は)「からいも郷士とか、ひしてベコと言われ、殆ど無給武士で、生活のために今日はコエタゴを担いで農耕し、翌日は剣道や槍の稽古に励むといった半農半武の生活」「貧困生活は少しも気にしない風習」「それでも子弟の教育だけは行き届いたもので」(以下略)貧しい中にかっての志操堅固な大隅人の気風がしのばれます。

○がね
 鹿児島の精進料理では、煮染めと並ぶ定番のご馳走です。芋料理として傑作で、拍子木に切った芋と小麦粉の衣でかき揚げにしますが、ごつごつした感じが「がね(カニ)」に似ているのでこう呼びます。法事の際に手伝いのおばちゃんたちが大量に作るがね、まして昔は町の油屋で絞った菜種油で揚げて、黄金色に香り高く素晴らしいものでした。

○芋あめ
 子供の頃の忘れられない思い出として、芋飴作りがあります。大量の芋をふかして麦もやしを入れます。発酵が終わったら布の袋で漉して、それを庭先にしつらえた臨時の大竈で煮詰めていきます。取り仕切り役のおばあさんが暗い中でタバコを吸いながら、焦げ付かぬよう一晩中つきっきりでした。
 朝になると濃い茶色のとろりとした飴が壺や瓶に十本以上出来ていました。子供たちが争って箸を突っ込んで飴を巻こうとすると箸がポキリと折れるほど粘りの強いものでした。
 所々に芋飴、醤油作りなどの思いもつかぬ名人のお年寄りがいて、そんな人を頼んで一年分の仕込みをしたのです。

○焼酎
 鹿児島県の焼酎は芋が主体です。鹿屋市にある「大海酒造協業組合」の、今は亡き山下元理事長さんに工場を案内して戴きながらお話を伺ったことがあります。
 私の記憶では次のような話でした。「米こうじ4トンに芋20トンで、一升瓶1万本出来る(当時これが同社の日産量)、これが麦の場合、米こうじ同じ4トンと麦8トンから同じ量の一万本が出来る。」「芋は生鮮食品なので、芋の収穫期である秋しか工場は操業できない。」「そこが乾物である麦とは異なる。」大いに「目から鱗」の話しでした。
 芋の仕込みの際、欠陥部や小口などを実に丁寧に思い切って切取っているのに驚きました。昔自宅での大勢の宴会で、お燗に使った薬罐は洗っても洗っても焼酎のにおいが取れずに、辟易したものです。最近の芋焼酎がすっきりしておいしいのは、麹や発酵技術の革新に加えて、原料の芋とその前処理にも大きな要素があると確信したことでした。(佐々木)

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さつまいもの花