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2011年11月19日 (土)

網野禎昭 法政大学教授講演

集合住宅の木造建築~
欧州の事例から考える・地方都市と木造のあり方

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場 所 肝付町高山やぶさめ館
主 催 肝属木材事業協同組合

 網野教授は、東京大学大学院( 坂本・松村研究室) 時代、鹿児島県佐多町( 現 南大隅町) の「さたでいホール」の設計において、シャープなデザイン感覚を発揮され、町にその案が採択されました。

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若くしてこのプロジェクトの計画から実施設計、施工管理までを担当されました。その後スイス連邦工科大学ローザンヌ校で当代随一の木質構造の大家ナッテラー教授の下に学び、ウィーン連邦工科大学に転じてアシスタントプロフェッサーを務められました。近年大きく進展かつ変貌しているヨーロッパの木造建築を、研究者として、また建築実務家として、まさにその渦中に在って格闘してこられました。
 十余年ぶりに帰国され、今年4月に現職に就任されました。時あたかも木造化推進法が施行されたこの時期、我が国木造建築の真の発展に大きく寄与されるものと期待しています。誠に喜ばしく、欣快に堪えない次第です。

 講演は3時間に及びました。多層木造建築の意義から始まり、各地の実例紹介、設計、施工の実務的な視点から、各種構法の一長一短、耐火基準などの解説、さらに木造建築を単なるブームに終わらせないために、鉄骨、コンクリート構造などと比べて、性能面、コスト面で如何に競争力を確保するかに話が及びました。性能、コストを踏まえて、材料、加工、部材のディテールまで、そして部材の製造、加工、現場施工体制など、設計・施工の実務に精通していればこその中層木造建築のさまざまな技術的側面が解き明かされた3時間でした。
 今回聴講された80名の方々は木造建築、特に多層階の集合住宅やビルの合理性、建築の具体的手法など聞く機会を得られたものと思います。後日幾人もの方々から木造建築についての常識が変わった、まさに「目からうろこ」だったとの感想をお伺いしました。
 いつか本誌誌上で、ご本人に直接弁じて戴く予定です。( 佐々木)