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2011年9月 2日 (金)

鹿児島のおいしいもの 旬の味

門松
 昔の門松は大変質素で素朴なものでした。どこの家も門の所に木杭を打ち、松の枝と竹などを立て、山から取ってきたシラス(火山灰土壌)を周囲に小さく盛り上げます。余分に持ってきたシラスは庭にまくと、黒い土をシラスが覆って清々しく、いかにも年の改まる気分が静かな町に漂いました。
 ある時期(私が小学生の頃で多分昭和二十年代終り頃)から「新生活運動」のようなものがあって、門松を印刷した小さな紙が配られるようになり、何しろ楽な方へだから門松をやめてそれを貼る家も増えてきました。
 めでたく門松を立てる風習は廃れ、松や竹を切りに山に入ることも無くなりましたし、それで山が豊かになることも有りませんでした。あの運動はどのような人たちが、どのような理屈や情熱で進めたのかなとふと思います。

いのしし
 報道によると、熊、イノシシ、鹿などの獣害が例年になく多いようです。林業の会合でもその被害がよく話題になります。イノシシは大変うまいので、「困った、困った」という話を聞くと「なぜ食わない?」とつい言いたくなります。猟師が減ったのか最近手に入らず久しくかつえていましたが、当地のわな猟師さんと神田専務が親しくなってくれたおかげで、最近は冷凍や味噌漬けで常備しており、客が有ればすき焼き、炭火焼、大根やゴボウとの煮物など「山の恵み」に感謝しつつ戴いています。

ぶり、ぶり大根( 桜島大根)
 鹿児島はぶり、カンパチの養殖が盛んです。冬の間天然物も良く取れ、脂ののった大物は絶品です。しかし養殖物も管理は行き届き、まず当り外れがないこと、天然物には春になると時として虫がおり、養殖魚にはそれがないことも評価されます。
 桜島大根はその大きさから人数が集まる時に使います。柔らかに煮えるのに、大鍋で長く煮ても煮崩れしないのが不思議です。ぶりのだしを吸って、口ざわり良く何ともいえないあじわいです。ぶり大根を何度か煮返して、天然物のぶりは全く煮崩れしないのに驚きました。

芋餅(ねったぼ)
 餅搗きの時、ふかしたさつま芋を餅につき入れて作るのが芋餅(ねったぼ)で、大概きなこをまぶして食べました。温かい内でも冷えてからでもおいしいですが、堅くなりかけたものを、切って火鉢で焼いても香ばしいものです。

味噌搗(みそつき)
 昔は多くの家で味噌、醤油まで作りました。手間の掛かる醤油作りは早い内に廃れましたが、今でも味噌作りは欠かしません。蒸した麦をもろふたに入れ、冷ましてから種麹を振ります。温度に気を配っていると翌日にはカビがしっかりついています。この麦麹を蒸して潰した大豆とを混ぜ込みます。昆布やゴボウを底に漬け込むと、絶品の漬物になります。こういうときの主役は妻であり、何かきりっとしていますからこちらも物言いには気をつけます。半年
ほど寝かせて、まさに当家「手前味噌」の出来上がりです。(佐々木)