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2010年4月 2日 (金)

木造の海苔製造施設が完成しました

Nori

写真は南川副地区です。

海苔養殖事業が全国一  
 九州山地の河川から、より良い栄養素が有明海に流れ込む最適な環境の中で、佐賀県は海苔養殖事業が全国一の生産量と品質を誇っています。
 佐賀県有明海漁業協同組合では、この豊富な漁場で生産される良質な海苔製品を守り育てるため、生産者の経営体質改善を目的とした協業化事業を平成7年から実施。この事業は、海苔漁業者に近代的な高効率乾燥加工施設の導入を可能にし、安定した収入を確保するもので、大型乾燥機を収める建屋はこれまで鉄骨でしたが、近年稀にみる鋼材価格の上昇に伴い、他構造での検討指示がなされ、木構造への取り組みに至りました。

木構造への取り組みの理由 
 鉄骨構造に比べてトータルコストで安く、結露の心配もないことと木材の特徴である熱伝導
率の低さで室内温度が3~4度程度低く、室内環境が良いことです。
 木材はシロアリの被害や腐食の問題が心配という声も有りましたが、土壌処理を実施し、海苔を製品化する乾燥庫に人に影響の少ないホウ酸塩を使用することで懸念を払拭。又、鉄骨構造の減価償却は約35年に対し、木材は約20年なので、漁業者の初期の税負担が軽減されます。*
 建物の主要構造部分には佐賀県産材による集成材を使用し、風や地震にも強い構造です。最近では漁業者の間でも山や森の重要性が認識され、積極的な育林活動が実施されるようになりました。

環境問題への取り組み
 今回の事業は、世界的テーマである地球温暖化防止に貢献し、自然に優しい環境作りを実践されました。このような取り組みが、近隣漁協や全国の海苔漁場に波及されることになれば、海と山の連携がより高まり、おいしい海苔をいつまでも頂けるような環境が受け継がれていくものと思います。最後に、佐賀の海苔種が鹿児島県志布志湾産を利用されていたことなどから、今回の木造化は私達にとって、多少なりとも御縁があったと感じております。(吉松)
* 実際の耐用年数は木造も同等以上。

今年度完成の海苔製造施設
南川副地区 約420m2×6棟
早津江地区 約390m2×1棟
久保田地区 約410m2×1棟
諸 富地区 約420m2×1棟

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佐賀県有明海漁業協同組合
組合長 川﨑 守 様に原稿を頂戴しました。

Kawasakisama

 今年度建設した海苔製造施設は今までの鉄骨から、木材構造に設計変更を行いました。
また台風による被害、害虫被害など心配される事は多々ありましたが、山佐木材様の技術により懸念材料が払拭されたようです。また海水での腐食の心配の無い木構造により、耐用年数が延びる事を期待しております。私達は、自然栽培の海苔を作ることを業としております。
今回も木材という自然の山々で育った材料で作った、自然に優しい製造施設で美味しい海苔を製造し皆様に提供して行く所存でございます。